Monteverdiの傑作Vespro(聖母マリアの夕べの祈り)
もう8月になりますが、6月の報告を・笑
6月は、大小合わせて5つの本番に、てんやわんやでしたが充実の一ヶ月でした。
特に、6月中の生誕450周年で賑わっている初期バロックの巨匠クラウディオ・モンテヴェディの作品を内容も違うもので2回演奏させていただいた事は、大変幸せでした。
6/7は、モンテヴェルディのマドリガーレのコントラファクタ(宗教的替え歌)にした作品を中心としたもの。
6/28は、宗教曲にも関わらず大変ドラマチックで、壮麗な“聖母マリアの夕べの祈り(Vespro)" 。
このVesproは、当時のモンテヴェルディが、ルネサンスから続く、それまでの古い作曲法に代わり、新たに、よりドラマッチックに音楽を作曲できる方法(Seconda Pratica)を提言した、ある意味、自分の作曲の腕を世に知らしめようとした作品でした。
この、当時には挑戦的で、壮大かつ、華やかな2時間を超える宗教曲の今回の演奏は、古楽のスペシャル・アンサンブル”アントネッロ”と、モンテヴェルディのマドリガーレ全曲演奏、録音に取り組んでいる人気声楽アンサンブル、”フォンテ・ヴェルデ”とのコラボレーションでした。
私自身、この作品が大好きで、これまでも何度も演奏させていただいてきましたが、今回は、
イタリアからスペシャルゲストとして、コルネットの天才奏者、アンドレア・インギャッシーノ氏が、このVesproのために来日してくれたことで、この楽曲の醍醐味とも言えるコルネットの演奏がミラクルで、大変豪華なものになりました。
アンドレアは、昨年9月に行われた、日伊国交150周年記念公演として鎌倉の鶴岡八幡宮などで上演された、モンテヴェルディのオペラ/オルフェオで来日をし、空き日にコルネットの公開レッスンを行いました。それを聴講したところから、知り合いになりました。彼は、親日家で、とてもフレンドリー、お茶目な人柄ということもあり、今回も、とても楽しく交流させていただきました。
この陽気なイタリア人のコルネット演奏は、今まで聞いたことのある名だたる世界的コルネット奏者を超えるのでは?と思わせる、技術と音楽性で圧巻でした。
特にインプロビゼーションのセンスが最高で、リハーサルから本番まで、その場で奏でられていく技巧的でセンスの良いインプロは、1度たりとも同じものがなく、しかもすべてがカッコ良いのは、大変な驚きでした。ただただ、凄いとしか言いようがない演奏を目の当たりにできたことは、大きな音楽的経験になりました。
そして、改めて、この企画の音楽監督、指揮者でもあるアントネッロの濱田芳通先生の奇才ぶりには、脱帽でした。
このVespuroを濱田先生の元で10回近く演奏してきましたが、同じ楽曲にもかかわらず、毎回、違った趣向が凝らされ、それまでのアイデアの焼き直しではなく、その時の共演奏者、場面などに合わせて再編するアイデアの泉に、奇才たる所以だと、改めて素晴らしい音楽家だと思わざるを得ませんでした。
特に今回の声楽担当は、モンテヴェルディの声楽作品のスペシャリスト、フォンテ・ヴェルデの皆さんだったので、とても素晴らしい装飾が効果的に施され、今回しか聴けないであろう特別なVesproになったのは、間違いないと思います。
アンドレアを加えたこのコラボレーションで演奏できることは、今後、そうそうはないだろうと思うと、自分のこれまでの、また、これからの音楽経験にも大きな印象が残るであろう公演となりました。
そんな、感動的なコンサートの打ち上げには、北九州からシャンパンのモエ・シャン・ドンのマグナムボトルを送ってくださったかたがいて、さらに会場が盛り上がり、このコンサートの良い締めくくりになりました。
(飲めない濱田先生に、飲ませようとする?お茶目なアンドレア)
熱燗を酌み交わし、すっかり仲良くなったアンドレア。
また、来日して天才的パフォーマンスを聴かせて欲しいです☆